ジムニーのJA71とはどんなものなのでしょうか。
現在ジムニーの購入を検討していると言う方の中には、JA71型を購入してみたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
JA71型ジムニーは、本格的な家庭用オフロード軽自動車として初めて市販されたモデルという事もあり人気が高く、歴代のジムニーの中でも特に評価が高い型式である事から、購入前にぜひ概要を知っていきたいところです。
そこで今回は、JA71型ジムニーと次代モデルであるJA11型との比較、実際のJA71型オーナーの評価や口コミなどを中心に、ジムニーJA71型について解説をしていきます。
ジムニー JA71:JA71型ジムニーとは?
ジムニーは初代モデルであるLJ10型が1970年に登場して以来、現在でも販売が継続さている人気車種ですが、JA71型と聞いてもどの時代のモデルなのか分からないという方もいらっしゃると思いますので、まずはJA71型ジムニーについて説明をしていきます。
JA71型ジムニーは、1986年1月に本格的な家庭用オフロード軽自動車として初めて販売された排気量が550ccモデルのジムニーを指します。
それまでは、工事現場や軍用目的の車両として屋根やドアなどが省かれる傾向にありましたが、JA71型にモデルチェンジを行った2代目モデルからは、家庭での使用を視野に入れた設計となっており、本格的なオフロード走行を行える事から現在でも根強い人気を誇る車両です。
また、JA71型はそれまで主流であった水冷2サイクルエンジンから水冷4サイクルターボエンジンへと変更され、排気量以上の馬力を実現している事も大きな特徴となっています。
雪道や未舗装路の走行を視野に入れた設計である事から悪路での走行を得意とし、その後のオフロード車やSUVに大きな影響を与え、現在でも後継モデルが販売されているジムニーの礎を築いたモデルでもあります。
ジムニー JA71:次代モデルであるJA11型との比較
JA11型モデルは、1981年~1995年まで販売されていた、いわゆる2代目ジムニーと呼ばれるモデルの1つで、JA71型ジムニーのビッグマイナーチェンジ車両として販売が開始された次代モデルですが、この両車にはどの様な違いがあるのでしょうか。
細かな仕様変更は多々ありますが、この中でも代表的なのは排気量とボディーの全長が大きく変更されているという事が最大の特徴です。
実は、JA11型が発売される1990年1月に軽自動車規格の大きな変更が発表され、安全性を向上させる目的などからボディーの全長が今までよりも100mm延長され、これに伴って重量が増加したことからエンジン排気量も550ccから660ccへと変更されています。
そのため、
JA71型 | JA11型 |
---|---|
全長 3,195mm | 全長 3,295mm |
排気量 543cc | 排気量 657cc |
と、軽自動車の新規格に対応した車両ということが両車の大きな違いとなるのです。
また、JA71型は変速機がMT仕様車のみの設定でしたが、JA11型には年次改良を行った3型と呼ばれるモデルから3速編成のAT仕様車も設定されています。
ジムニー JA71:JA71型は癖の強い車?
JA71型ジムニーは、旧軽自動車規格での設計となっているためエンジン排気量が543ccと現在よりも低くなっているなどが特徴ですが、車両としての癖が強いことでも有名な車種となっています。
では、具体的にどの様な強い癖があるのでしょうか。
JA71型ジムニーには、軽自動車として初めて電子制御燃料噴射装置と水冷4サイクルターボエンジンが搭載され、高回転域でも余裕を持ってエンジンパワーを発揮することが可能な構造となっていますが、反面、従来搭載されていた2サイクルエンジンと比べ走り出しなど低回転域での作業が苦手という特徴を持っています。
そのため、走り出しでゆっくりとアクセル量を増やした場合でもある一定のエンジン回転数からターボユニットの過給が急激に始まり、ホイールスピン(ホイールの空転)を引き起こすなど、車体のコントロールとアクセルコントロールが非常にシビアである特徴が存在する事から、癖が強い車だと言われているのです。
この現象は、俗にドッカンターボと呼ばれており1980年代~1900年初期に掛けて製造されたターボエンジン車によく見られる特徴で、走り出しから間もなくして急に爆発的な加速が始まることからこのような名称で呼ばれるようになりましたが、昨今の車は乗り心地を重視するなどの配慮から、設計が見直されておりターボ車でも癖の少ない車両が増えているのが現状です。
ジムニー JA71:JA71型ジムニーを使用する上での注意点
JA71型ジムニーは前述した通り、ターボブーストが急激に始まるなどの癖が強い車両であることから車体のコントロールやアクセルワークなどに気を配らなければなりませんが、その他にも幾つか使用する上で注意をしておきたい点が存在します。
アフターアイドリングが必要
JA71型ジムニーには4サイクルターボエンジンが搭載されていますが、このエンジンのターボユニットは、熱に対して非常に弱いという弱点を持っています。
ターボユニットは加圧によって高温状態になるため、常に吸気と排気を繰り返し空気やオイルを使用して冷却を行っていますが、高温の状態でエンジンを停止してしまうとこの冷却が行えなくなり、ベアリング部分に変形や焼き付きを起こしてしまい故障してしまうのです。
昨今のターボ車はエンジンを停止した状態でも冷却装置は作動している物が多く、アフターアイドルを行う必要はありませんが、JA71型の場合にはこのような装置が備わっていないためターボタイマーなどを導入しエンジン停止後も冷却を行う必要があります。
エンジンオイルの交換頻度が早い
これも、エンジンに関連した事ですがJA71型のエンジンはそれまで搭載されてきた2サイクルエンジンとは異なり、走行する事によってエンジンオイルも同時に燃焼させる事は無いため、オイルをその都度追加する必要はありませんが、高回転型に特化したエンジンである事から劣化と消耗が激しいため、約5,000kmを目安にし定期的にオイル交換を行う必要があります。
ジムニー JA71:実際のJA71型オーナーの評価や口コミ
ここまでは、JA71型の癖や使用する上での注意点などを解説してきましたが実際に使用しているオーナーの評価や口コミが気になると言う方も多いと思います。
良い点としては
- 癖の強いドッカンターボと呼ばれる加速感が運転をしていて楽しい
- 高速道路など細かいアクセルワークを気にしない環境では、快適に走行する事ができる
- 製造から年月が経ち、メンテナンスを行う回数が増えたものの逆に手を入れる頻度が多くなったため愛着が沸いてくる
悪い点としては
- 街中で乗るには燃費が悪い
- 軽自動車であるのにも関わらず、小回りが利かない
- ターボブーストが急激に始まるため、乗車時の前後の揺れが激しく家族が車酔いしてしまう
- 排気量が550ccなので、ターボ車であっても坂道などではパワー不足を感じる
などの口コミが多く見られます。
これらの事から現代の車では、あまり感じることのできない良い点や悪い点を併せ持っている車である為、JA71型ジムニーの購入を検討している場合には上記の評価を参考にし様々なメリットとデメリットがあると言う事を理解しておくと良いでしょう。
ジムニー JA71:まとめ
今回は、JA71型ジムニーと次代モデルであるJA11型との比較、実際のJA71型オーナーの評価や口コミなどを中心に、ジムニーJA71型について解説をしてきましたがJA71型はエンジン排気量が550ccと旧軽自動車規格の車両である事が分かったと思います。
また、低回転域から急激にターボブーストが始まるドッカンターボである事からアクセルワークがシビアになるなど強い癖を持った車ですが、現代の車では体感することのできない加速感などを味わうことができるため、購入を検討している場合には前述した評価を参考にすると良いでしょう。
ただし、昔の車にありがちな荒削りな面も併せ持っている為、車の特性をよく理解しておく必要があります。