スペーシアの自動ブレーキは効かない？

スペーシアの自動ブレーキは効かないという声があります。

今や軽自動車でも安全装備が充実しているのは当たり前で、車を購入する際の条件で安全装備を重視する人は少なくないでしょう。

軽ハイトワゴンのスペーシアは売り上げこそN-BOXに及ばないものの、全車に搭載されたマイルドハイブリッドやユニークな内外装のデザインなどは高く評価されていますが安全装備の性能に問題があるのでしょうか？

本記事ではスペーシアの安全装備、自動ブレーキについて解説します。

スペーシアの自動ブレーキは効かない？｜スズキセーフティサポートとは

2017年末にモデルチェンジ以降の新型スペーシアには全車に標準装備で先進安全装備スズキセーフティサポートが搭載されています。

スズキセーフティサポートでも肝となるのは単眼カメラと赤外線センサーを組み合わせたデュアルセンサーブレーキサポートであり、一般に自動ブレーキと言われるのはこの機能です。

またスズキセーフティサポートにはもう1つの自動ブレーキとして軽自動車としては初の後退時の自動ブレーキとなる後退時ブレーキサポートが含まれています。

他にもスズキセーフティサポートに含まれる安全装備として前後方の誤発進抑制機能、車線逸脱警報機能、ハイビームアシストなどの機能があります。

デュアルセンサーブレーキサポートによる自動ブレーキはどのような性能を持っているのでしょうか。

デュアルセンサーブレーキサポートでは単眼カメラとレーザーセンサーを組み合わせることでお互いの短所を補いあって対象物を検知し、対象物が走行中のスペーシアと衝突の可能性がある場合、警報後に自動でブレーキを行い衝突を回避する事が出来ます。

ブレーキの対象は車だけではなく歩行者も対象としており、カタログ上では対象が車の場合50km/h以下、歩行者の場合30km/h以下の速度であれば衝突を回避できる可能性があるとしています。

デュアルセンサーブレーキサポートで使われているセンサーは高性能なミリ波レーダーではなく赤外線レーザーであり、近距離での精度が高い反面、ミリ波レーダーと比較して範囲が短く、悪天候時などでは精度が落ちる事には留意が必要です。

カタログ上のスペックはさておき、スペーシアの自動ブレーキの実際の性能はどうなのでしょうか。

JNCAP（自動車事故対策機構）によるテストでは速度50km/hでは車との衝突を回避できておらず、また対歩行者での衝突回避におけるスコアも低く、こういった結果が自動ブレーキ性能への不安に繋がりスペーシアの自動ブレーキは効かないという声に繋がっていると思われます。

軽自動車なのだから、ある程度性能に妥協は仕方ないという考えもありますが、ライバル車ともいえるホンダN-BOXは同じテストで衝突を回避、高いスコアを出しておりライバル車と比較して明確に衝突回避性能が低いと言わざるを得ません。

このテストではオプション装備の旧型であるデュアルカメラブレーキサポートを装着した旧型スペーシアの方が現行の新型スペーシアより衝突回避において高いスコアを出しており、新型スペーシアに搭載されたデュアルセンサーブレーキサポートの精度に問題がある可能性があります。

現行の新型スペーシアは自動ブレーキの精度に若干の問題がある事は解りましたが、衝突を回避できなかったテストでも減速自体は行われており決して自動ブレーキが無意味という事はありません。

テストでは自動ブレーキのみで衝突を回避できるかどうかが試されていましたが、原則として衝突回避はドライバーが行うものであり、自動ブレーキはあくまで補助であるという認識を持った方が良いでしょう。

自動ブレーキなどの安全機能は各社力を入れて開発しているため日進月歩で進んでおり、2019年にモデルチェンジを行ったN-WGNでは軽自動車では初めて走行中の自転車が自動ブレーキの対象となりました。

2017年にモデルチェンジを行った現行のスペーシアは当時では先進的な安全機能を装備していましたが、僅か1,2年の間に他の軽自動車に安全機能で先行される事になり安全機能の進化の速度を感じさせます。

スペーシアも次のモデルチェンジでは精度に問題のあった自動ブレーキの問題が改善される可能性が高いでしょう。

ここまでスペーシアの安全装備、自動ブレーキなどについて解説しました。

スペーシアの安全装備スズキセーフティサポートには単眼カメラと赤外線センサーを組み合わせたデュアルセンサーブレーキサポートが搭載されており、走行中のスペーシアが他の車や歩行者と衝突すると判断された場合、自動でブレーキがかかります。

JNCAPが行ったテストではスペーシアは競合車と比べて衝突回避においての結果が悪く、デュアルセンサーブレーキサポートの精度に問題がある可能性があり、自動ブレーキが効かないという声の原因となっていると思われます。

自動ブレーキはあくまで衝突回避のサポートをしてくれるだけのものと考えて、ドライバー自身で衝突を回避する運転をするよう心がけましょう。