20系プリウスのブレーキフルード交換を自分ですることは可能でしょうか?
電子制御ブレーキシステムECB2を搭載した20系プリウスには、ブレーキオイルの交換作業には診断機が必要です。
診断機を使った交換手順を説明し、正規ディーラーでの交換をお勧めします。
20系プリウスのブレーキフルード交換|20系とは
20系プリウス(NHW20)とは、第2世代プリウスのことを指します。
2003年に発売開始され、2011年に生産終了しました。
20系は国外での市場を考慮してやや大型化されました。
5ドアハッチバックが採用され、「トライアングル・シルエット」と呼ばれる三角形の「おむすび形」へとボディ形状が大きく変更されました。
2003年度にはグッドデザイン大賞を受賞しています。
10・15モード燃費はさらに向上して35.5km/Lとなり、4人乗り以上の市販ハイブリッドカーとしては当時、世界最高の省燃費を達成しています。
いわば今のプリウスの基盤となるモデルでした。
20系プリウスのブレーキフルード交換には診断機が必要
20系プリウスには電子制御ブレーキシステムECB2(Electronically Controlled Brake System2)が採用され、ブレーキ配管内のエア抜きをするためには診断機が必要になりました。
ECB2では、ブレーキペダルを踏んだ力がそのまま油圧となって各ホイールシリンダーを動かすわけではありません。
各ホイールシリンダーは、ブレーキアクチュエータ内のリニア・ソレノイド・バルブによって制御され、ブレーキフルードの油圧はコンピュータがモニタしています。
ネットには、診断機を使わない方法も紹介されていますが、ほぼ自動車整備士の資格や整備工場での作業となっています。
一般の方には手強い作業のようですから、自己流はお勧めできません。
20系プリウスのブレーキフルード交換に使える診断機
20系プリウスのブレーキフルード交換で使える診断機はどのようなものでしょうか。
トヨタ純正診断機S2000がまず挙げられます。
一般の市販品でもECB2に対応しているモデルがあるようです。
「Snap-on スナップオンエンジン診断機MTG3000」でブレーキフルード交換ができたというレポートがありました。
MTG3000は2015年に販売を終了し、2018年現在入手するにはヤフオクなどで6万円代からでているようです。
一方で、高性能AUTEL社のマキシシス(現行モデルはメーカー価格20万円から)ではできなかったというレポートもあります。
診断機も20系プリウスのECB2に対応しているかどうか事前に調べてから購入したほうがいいでしょう。
20系プリウスのブレーキフルード交換の手順
実際に診断機を使った20系プリウスのブレーキフルード交換手順をみていきます。2人で一緒に作業することが必要です。
1)車両に診断機をつなぐ。
2)キーONにし、ブレーキを踏まずにプッシュスタートを2回押す。
3)診断機でトラブルコードが残ってないか調べる。
4)異常がなければ作業サポート「ABS/VSC」から「エア抜き」をえらぶ。(異常があればその解決が優先)
5)古いブレーキフルードをスポイトで抜く。
6)一人が前輪のブリーダを緩め、もう一人が室内でブレーキペダルを何度か踏み込みながらブレーキフルードを抜いていく。
7)後輪の作業は一人がブレーキペダルを踏み込んだまま行う。
8)診断機で「エア抜き」完了を選ぶ。
9)診断機の指示に従って「アキュームレータ0ダウン」を5回繰り返す。
10)再度診断。エラーがでるのでクリアする。
という手順になります。
正常に作業が終了しても最後にエラーが出る理由とエラーを消去する方法を次で説明します。
20系プリウスのブレーキフルード交換で発生するエラーのクリア
リアのブレーキフルードを抜いた後は診断でエラーが出ます。
ABS(アンチロック・ブレーキシステム)警告灯が点灯し、DTC(ダイナミックトラクションコントロール)を消去しても警告灯が再点灯します。
前述したように、ECB2ではブレーキフルードの油圧をコンピュータがモニタしています。
ブレーキペダルを踏んだままリアホイールのブリーダプラグを緩めると「ブレーキを踏んでいるのにブレーキフルードの油圧が上がらない異常」とコンピュータが判断し、フェイル・セーフ・モードに入ってしまうのです。
そのため、いくらブレーキペダルを踏み込んでもリヤブレーキは効きません。
これをクリアするためには次の操作が必要になります。
1)ABSのDTCを消去する。
2)再び診断機で「リニアオフセット弁学習」を実施する。
20系プリウスのブレーキフルード交換は正規ディーラーで
さて、いかがでしたでしょうか。
ある程度車の整備に慣れていて、きちんと車をジャッキアップして作業できる環境があれば自分でもできるかなと思った人もいるかもしれません。
しかし、2018年現在、20系プリウスに使える診断機もすでに旧式になりました。
中古の診断機をオークションなどで買ってもし不良があっても自己責任になってしまいます。
走る、曲がる、止まるは車の3大基本機能です。
特にブレーキは命がかかる重要な機能です。
確かな整備で良い状態を維持し、安全にドライブを楽しむためには、正規ディーラーでブレーキフルード交換をしてもらうことをお勧めします。