30系プリウスのブレーキフルード交換を検討中ですか?
従来の車のブレーキフルード交換をやったことがある人もいると思います。
でも、ハイブリッド車のブレーキフルードの交換はこれまでの車とは手順がまったく異なります。
今回は、30系プリウスのブレーキフルードの交換手順をご紹介し、専門家に頼んだほうがいい理由を説明します。
30系プリウスのブレーキフルード交換|従来の車の場合
従来の車は、ペダルを踏むと油圧でピストンが動く、機械式で力が伝わって動く構造です。
つまり、ブレーキペダルを踏むと、マスターシリンダー内のピストンが押し上げられ、各タイヤについているブレーキのピストンを作動させる構造になっています。
ざっくりといえば、車をジャッキアップしてタイヤを外す。
古いブレーキフルードを抜く。
ブレーキフルードをトランクルーム内のリザーバタンクから注ぐ。
最後にエア抜きをする。
これまでの車の場合は、以上のような工程でブレーキフルードの交換ができました。
30系プリウスのブレーキフルード交換|ハイブリッド車の場合
ところが、プリウスのようなハイブリッド車の場合は「ブレーキ制御禁止モード」に移行させる必要があります。
リザーバタンクから各タイヤのブレーキまで油圧を伝える仕組みは同じですが、各系統にブレーキフルードを送る仕組みが電子制御になっているのです。
詳しくいえば、アキュームレータに蓄えた高い油圧を電子制御で切り替えて各系統に送り、それぞれのタイヤについたブレーキのピストンを作動させます。
これまでの車と同じように、エンジンを止めて電源を切ってブレーキフルードを抜いて、、というわけにはいかないのです。
では、ブレーキ制御禁止モードにする方法を次で見てみましょう。
30系プリウスのブレーキフルード交換|ブレーキ制御禁止モードにする方法
ブレーキ制御禁止モードにするには、最初にサイドブレーキをかけておきます。
シフトは「P(パーキング)」です。
これをしないと、ブレーキ制御禁止モードに移行できません。
ブレーキ制御禁止モードに移行するための手順
ここからの作業は1分以内に行う必要があります。
2)ブレーキペダルを踏まずにプッシュスタートスイッチを2回押し、イグニッションONにします。
3)ブレーキを踏んだままシフトを「N(ニュートラル)」にします。
4)5秒以内に8回以上、ブレーキペダルを「踏み込んでは解放」を繰り返します。
5)シフトポジションを「P(パーキング)」にします。
6)5秒以内に8回以上、ブレーキペダルを「踏み込んでは解放」を繰り返します。
7)もう一度、3)、4)、5)を繰り返します。
8)ブレーキ警告ランプが高速で点滅していれば、「ブレーキ制御禁止モード」への移行は成功です。
イグニッションはONのままにしておきます。
ここでもし、ブレーキ警告ランプが点滅していなければ、初めからやり直しになってしまいます。
30系プリウスのブレーキフルード交換|交換作業の手順
次はいよいよブレーキフルードの交換です。
この作業には、ブレーキフルードを抜くための専用工具と2人の人員が必要です。
まずは、ブレーキフルードの量を確認しましょう。
油面はリザーバタンクのMAX-MINの間にありますか?
もし、不足している場合はフルードを補充しておきます。
ブレーキフルードの交換手順
1)ブレーキペダルを踏みながら、右フロントブレーキのブリーザプラグからフルードを抜き取ります。
2)ブレーキペダルを踏み込んだまま、ブリーザプラグを締め付けます。
3)続いて左フロントブレーキ、左リアブレーキ、右リアブレーキと同じ作業を繰り返します。
4)イグニッションをOFFにして、ブレーキフルード量を確認します。
注意点
ブレーキフルード交換作業中にリザーバタンク内のフルードがMINライン以下にならないように注意しましょう。
エアが混入する原因になりますので、フルードを補充しながら作業します。
30系プリウスのブレーキフルード交換|作業にはリスクがいっぱい
プリウスのブレーキフルード交換作業にはさまざまなリスクが伴います。
「ブレーキ制御禁止モード」にするためには、5秒間にブレーキを8回踏む動作を3セット繰り返す必要があります。
それに1分以内という時間との戦いですから、事前に手順をよく確認しておかなければなりません。
ここで失敗すると、ダイアグノーシスコードが記録される可能性もあります。
その場合、さらにその記録の削除作業をしなければなりません。
万が一、エアが混入した場合は、エア抜き作業には外部診断機が必要となる場合があります。
そうなると結局、ディーラーさんや整備工場の手を借りるしかなくなってしまいます。
30系プリウスのブレーキフルード交換は専門家に頼もう!
プリウス30系のブレーキフルード交換の手順をご紹介しました。
そしてその手順に潜む危険について説明しました。
ブレーキフルードの交換は平均的な乗り方の場合2年に一度と言われています。
自分の車だけをメンテナンスするならば、そうそう作業に慣れることもできませんよね。
車検時であれば、ブレーキフルード交換の費用は、ブレーキフルード代と技術料を合わせても7,000円から1万円弱だそうです。
決して安い金額ではありませんが、ブレーキは命に関わる機能です。
余程自信がある人でなければ、専門家に頼むことをお勧めします。