アクアのハイブリッドシステムの故障解説

アクアのハイブリッドシステムの故障について解説します。

トヨタアクアは2011年に販売開始されて以降、マイナーチェンジによる改良を続けながら現在至るまで販売台数を伸ばし続ける国民的なロングセラーカーです。

アクアの人気の理由は低重心による運転のしやすさや手ごろな販売価格などもあるでしょうが、最大の理由は非常に優れた燃費性能をもたらしているハイブリッドシステムにあると言えます。

この非常に優れたハイブリッドシステムですが従来のガソリン車とは仕組みが異なるため、特にアクアで初めてハイブリッドカーに触れたユーザーの場合、トラブルの際には状況が良く解らなくて困る事もあるようです。

本記事ではアクアのハイブリッドシステムの故障、トラブルについて解説します。

アクアのハイブリッドシステムの故障解説|ハイブリッドシステム解説

アクアのハイブリッドシステムの故障について解説する前に、アクアのハイブリッドシステム自体について簡単に解説しておきましょう。

アクアにはトヨタが独自に開発したTHS-IIと呼ばれるハイブリッドシステムが搭載されています。

これは元々プリウスに搭載されていたシステムですが、プリウスよりサイズの小さいアクアに搭載するために小型化、軽量化などの改良が加えられています。

アクアのハイブリッドシステムではガソリンで動くエンジンと電力で動くモーターを組み合わせて走行します。

アクアには外部からの電力を充電するシステムは無く、回生ブレーキという車が止まる力、減速する力を利用してバッテリーに充電する仕組みによりハイブリッドシステムを実現しています。

アクアには駆動用バッテリーと補機バッテリーという2つのバッテリーが積まれています。

回生ブレーキでの充電により走行のためのモーターを動かすハイブリッドシステムの核となっているのが駆動用バッテリーです。

それに対してハイブリッドシステムの起動用電力やカーナビなどの走行以外の車内の電力使用全般を担うのが補機バッテリーで、補機バッテリーはガソリン車のバッテリーに近い役割をしています。

アクアでも補機バッテリーの電力が無くなってしまうとガソリン車と同じようにバッテリー上がりが起こってしまい、その場合は例え駆動用バッテリーに十分な電力が充電されていてもハイブリッドシステムを起動する事ができないため走行する事ができなくなってしまいます。

ある日突然アクアが動かなくなって深刻な故障かと思ったらただのバッテリー上がりだったという事もあるので、アクアが動かなくなったら補機バッテリーもチェックしてみましょう。

アクアの駆動用バッテリーの故障は経年劣化が原因である事が多く、走行距離が短いアクアで発生する事はほとんどありません。

アクアの駆動用バッテリーの寿命は走行距離10万kmと設定されており、実際には15万km以上走っても問題ない場合も多いのですが、一方で運転の仕方などによっては10万kmより早くバッテリーが故障する事もあり得ます。

アクアの駆動用バッテリーが故障する場合は運転に異常が出る前に警告灯が点灯する事が多いので、その場合は運転できなくなる前に早期にディーラーなどで点検を行いましょう。

駆動用バッテリーの交換の費用は工賃込みで15万円から30万円程度と、それなりの金額になってしまうので十分な走行距離を走っている場合は修理よりも乗り換えを検討するユーザーも多いようです。

インバータとは直流電流を交流電流に変換する回路で、アクアでは駆動用バッテリーからの電流をモーターを回すための交流電流にするために使われるハイブリッドシステムにとって非常に重要な部品です。

このインバータは部品の性質上、高温になってしまうのが避けられず冷却が上手くいかずに故障に至ってしまう事があります。

高温になる部品のため経年劣化が故障に繋がる事が多く、走行距離10万kmあたりで故障を起こすケースが見受けられます。

インバータが故障した場合、フェイルセーフモードになってある程度はアクアを動かすことができる場合もあれば、突然全くアクアを動かせなくなってしまう事もあるようです。

インバータには内部に多くの部品が使われていますが、インバータが故障した場合は部品交換ではなく全体交換になる事がほとんどで最低でも15万円以上はかかってしまうため、やはり買い替えを検討するユーザーも多いようです。

通常のガソリン車のエアコンはエンジンの動力で動かしていますが、アクアを含むハイブリッドカーのエアコンは駆動用バッテリーの電力によって動いています。

ハイブリッドカーのエアコンのコンプレッサーは電動であるためにガソリン車の場合と比べて構造が複雑な事などもあり故障が発生しやすいです。

コンプレッサーの交換の費用もガソリン車の場合より高額になってしまい、10万円近くすることが多いようです。

ここまでアクアのハイブリッドシステムでよくある故障、トラブルについて解説してきました。

アクアの故障に関しては多いという意見と少ないという意見が錯綜していますが、全体の販売台数が非常に多いため故障の数が多く見えるだけで故障の割合としては少ない方だと思います。

バッテリーやインバータなどは経年劣化による故障のケースは多いですが、走行距離が短い状態での故障は少なく信頼性は高い車と言えると思います。

一方でハイブリッドカーの特徴として故障が起きてしまった時に修理しようとすると全交換が必要になり費用が高額になってしまう事が多く、ある程度乗ったうえで故障したら買い替えるものだと割り切った方が良いのかもしれません。