プリウス30系「後期型」ヘッドライトの光軸を解説します。
自動車のヘッドライトには明るさや照射範囲など、車検の適合に沿った整備を行わなければならない項目が幾つかありますが、その中にロービームの光軸というものがあります。
これはロービームの照射角度に関する項目で、光軸が低すぎると走行する車の運転者に悪影響が、高すぎると対向車や先行車に悪影響が出る為で、基準値と言うものが定められています。
30系プリウスの後期型にはこの光軸を最適に保つ機能が搭載されていますが、今回はこの光軸調整機能や仕組み、種類などを中心に30系プリウスの光軸について調べてみました。
プリウス30系「後期型」ヘッドライトの光軸:ヘッドライトの違い
30系プリウス後期型のヘッドライトは、グレードによって3種類のロービームが装備されています。
グレード | 30系「前期」 | 30系「後期」 |
---|---|---|
L | ハロゲンランプ |
変更なし |
S |
HIDランプ (ロービームとして装備) |
|
G | ||
ツーリングセレクション |
LEDランプ (ロービームとして装備) |
変更なし |
それぞれのヘッドライトは反射式では無く、ガラスレンズの様なプロジェクターを介して光が投影されるため、照射範囲などに差はありませんが明るさという観点から見ると、明るい順にHID、LED、ハロゲンと言う順番になります。
また、それぞれのランプ方式で光軸が調整できるようになっています。
プリウス30系「後期型」ヘッドライトの光軸:オートレベリング機能
- SとGグレードには「HIDランプ」
- SとGのツーリングセレクションには「LEDランプ」
のヘッドライトがそれぞれ標準装備されています。
このヘッドライトにはロービームの光軸を自動で一定角度に保つオートレベリング機能が搭載されており、先行車や対向車への眩惑光を防止すると共に、ドライバーの視界の確保にも役立つ機能となっています。
具体的には坂道などの勾配が発生している場合に、ロービームの光軸を運転者の見易い位置に自動で調整をしてくれる機能で、平坦な道に戻ると光軸が元の位置に戻るなどの役割を果たします。
また、ガソリンの注入などによって車高が下がった場合やガソリンが減り元の車高に戻った場合などにもセンサーが反応し自動で光軸を調整してくれる機能となっています。
プリウス30系「後期型」ヘッドライトの光軸:マニュアルレベリング機能
30系プリウス後期型の「Lグレード」には、ヘッドライト内にあるロービームの光軸を自動で調整してくるれるオートレベリング機能が非搭載となっています。
このため、光軸の調整はサイドミラーユニットを操作するスイッチの左側にあるダイヤルスイッチを使ってのマニュアル操作となります。
このダイヤルスイッチには0~5の数字表記がされており、5に合わせると下方向を0に合わせると上方向にそれぞれ光軸を調整する事ができ、ドライバーの1番見易い角度でロービームの光軸を固定する事ができます。
この光軸は車検の適合範囲内に必ず収まる設定になっている為、点検時にわざわざ光軸を再調整する必要はありません。
ですが対向車には眩しいと感じる場合もある事から、極力2~3辺りで光軸を調整する事をおすすめします。
プリウス30系「後期型」ヘッドライトの光軸:オートレベリング機能によるデメリット
SやG、ツーリングセレクションのヘッドライトに搭載されているロービームオートレベリング機能ですが、自動で最適な光軸に調整してくれるありがたい機能なのですが、反面デメリットとも言える事も発生してしまいます。
前述した通りオートレベリング機能は、ガソリンの増減などによる車高の上がり下がりによっても光軸を自動で調整してくれるのですが、スポーツ走行などを楽しむ為に
ユニットを導入し車高を下げた場合には一体どうなるのでしょうか?
答えはオートレベリング機能の基準値に狂いが出てしまい光軸が常に下方向に下がった状態になってしまいます。
このオートレベリング機能のセンサーはガソリンタンクに近い車体後方に設置されている為、車高を変更した事が原因で基準値が狂ってしまうと考えられています。
また、本来の車高で光軸設定を行っている事も原因の一つです。
車高調整を考えている方はこの様な事態が起こりますので注意が必要です。
プリウス30系「後期型」ヘッドライトの光軸:オートレベリング機能のリセットと調整
30系プリウス後期型に搭載されているオートレベリング機能は、光軸調整において便利な機能ですが、車高調整を行うと基準値に狂いが発生してしまうデメリットも存在します。
この光軸がずれた状態での走行は安全上非常に危険なので、早急に再調整を行わなければなりません。
その為には、まずオートレベリング機能のリセットを行います。
電子マニュアルがあればこの作業はDIYで行う事が可能ですが、不安な場合は整備工場やディーラーでリセットしてもらうと良いでしょう。
- 最初に車内にある荷物をスペアタイヤとジャッキを残して全て車外へ出し、平坦な場所に駐車をして下さい。
- 次にリード線に小型のオス端子を付けたケーブルを用意します。(長さは15~20cmあれば十分)
- そのケーブルをステアリングの下部にある診断コネクターに差し込みます。
- 差し込む場所はマニュアルに記載されているLVLとCGと書かれている端子です。
- その後はイグニッションをオンにし燃料計の目盛りに沿ったライトコントロールの操作を行えばオートレベリング機能をリセットが完了します。
このリセット作業が完了したら、ヘッドライトユニット自体の光軸調整を行います。
この作業は専用の機器と整備士による作業が必要なため、民間整備工場やディーラーで作業を依頼して下さい。
これで車高を落とした状態でも正常にオートレベリング機能が動作するようになります。
プリウス30系「後期型」ヘッドライトの光軸:まとめ
今回は30系プリウス後期型のヘッドライトの光軸について調べて来ましたが、特にLEDランプを搭載した車で光軸に対する悩みが多い印象を受けました。
LEDランプはHIDと比べて光量が低くオートレベリング機能の基準値では若干見づらい様です。
また、本来メリットでもあるオートレベリング機能に意外な落とし穴がある事も分かりました。
それぞれ対処法はあるものの、自分で運転しやすい様にカスタマイズを行う方も多いようです。
中にはオートレベリング機能をわざとマニュアルレベリングに変更している方もおり、車検の適合範囲内で光軸の工夫をしているようです。
ロービームの光軸は、運転者だけでなく対向車や歩行者などにも悪影響を及ぼす可能性がありますので、こま目なチェックが必要となります。