プリウスのシフトギアにある「B」という表記について、謎に思われている方も少なくないのはないでしょうか。
私たちにとって、馴染みの薄い「B」について、その正式名称と役割、使ったときの効果、使わないことによる危険性などについて、個人的な見解も交えながら、解説してまいります。
プリウス ギア b|呼び名の意味
プリウスを運転される方は、必ずシフトレバーを握る機会があると思います。
その際、シフトレバーの表面に「B」と書かれたギアがあることは御存知だと思いますが、普段の運転で使う機会が少ないため、恐らく詳しくは知らないという方が多いでしょう。
実は「B」とは「ブレーキ」という意味で扱われています。
一般的に、車におけるブレーキという言葉から想像するのは、ブレーキペダルであることが多いと思われます。
ブレーキペダルを踏むことによって生じるブレーキは、フットブレーキの力によるものですが、この「B」はエンジンブレーキの力によるブレーキを意味しており、両者は似ているようで全く別物なのです。
プリウス ギア b|人間の体に例えると
それでは、エンジンブレーキとフットブレーキによる大きな違いは何かについて説明します。
フットブレーキは、ドライバーの方であれば、車を運転するにあたって踏まない日はないというくらい、馴染み深いものだと思います。
踏み加減によって、減速したり車を止めたりすることができ、人間でいえば心臓に該当するほど、役割と重要度が高いものです。
このフットブレーキを補助する役割を担っているのがエンジンブレーキ、すなわち「B」です。
エンジンブレーキは、フットブレーキだけでは減速が難しい場面で使用され、フットブレーキを心臓に例えるなら、それをサポートする他の臓器に該当するのが「B」と言えるのではないでしょうか。
プリウス ギア b|どんな場面で使うか
このように心臓を補助するようなアシスタント的な役割を持つ「B」ですが、実際にはどのような使い方をするのでしょうか。
具体的には、高速道路や山道などの長い下り坂や勾配の大きい下り坂を運転するときに、シフトレバーのポジションを「D」→「B」に入れます。
先ほど、「B」には馴染みが薄い方が多いと述べましたが、普段の通勤やドライブにおいては、上記のような下り坂に出くわすことが少ないことが理由の一つです。
しかし、帰省や旅行などで運転するときには、上記のような下り坂に遭遇する場面も増えてくるかと思います。
そうしたシチュエーションにおいて利用するポジションが「B」なのです。
プリウス ギア b|使うことによる効果
では、実際に長い下り坂や急勾配の下り坂で「B」に入れると、どんな効果が期待できるのかについて説明します。
こうした場面で、「D」にシフトポジションを入れたまま、下っていこうとすると、アクセルペダルを踏んでいないのに、どんどん加速の勢いが増して、スピードが上がってしまいます。
市街地などの平坦な道では、アクセルペダルから足を離しただけで、ブレーキペダルを踏まなくても減速するのが分かると思いますが、長い下り坂や急勾配の下り坂だと、ブレーキペダルを踏んでいるのに、なかなか減速しづらくなります。
すなわち、減速するためにフットブレーキの力だけでは不十分なので、それを補うために「B」が使われるのです。
「B」に入れると、上記のような下り坂においても平坦な道と同じように、アクセルペダルを離してさえいれば、一定の速さをキープしてくれます。
プリウス ギア b|使わないとどうなるか
長い下り坂や急勾配の下り坂で使用することで、フットブレーキの負担を軽減できます。
もし、このような場面でも「B」を使わず、「D」のまま走行し続けると、フェード現象やベーパーロック現象と呼ばれる、ブレーキの効きが悪化する状態に陥ってしまうのです。
これは、フットブレーキによる力に頼りすぎた結果、ブレーキ関係のパーツを酷使しすぎてしまい、うまく減速が起こらなくなってしまった状態です。
そうなると、大事故につながりかねないので、こうした場面では「B」に入れることが安全運転のために重要なのです。
プリウス ギア b|まとめ
ここまで、あまり親しみのなかった「B」について説明してきましたが、いかに重要な役割を担っているか理解していただけましたでしょうか?
人間の体も、心臓だけでは生きていくことはできず、他の臓器とのコンビネーションが円滑に進むことで生きていけます。
車においても、フットブレーキ(人間でいう心臓)だけに依存しすぎず、エンジンブレーキ(人間でいう他の臓器)も上手く活用してやることが大切なのです。