フェアレディZの中古が安いのには理由がある。
日産フェアレディZといえば、流線型で優美なシルエットに後輪駆動方式、大排気量で伸びやかな高速クルージングが楽しめる大人のスポーツカーという位置付けで、スカイラインと並んで日産を代表するスポーツカーといえる。
そのフェアレディZの中古価格が安い理由について考察してみる。
フェアレディZの中古価格が安い理由|減少するスポーツカー市場
近年、若者を中心に広まる「車離れ」という風潮によって、フェアレディZに限らず、国内のスポーツカー市場は全般的に縮小傾向にあり、購入層ターゲットも若者よりも金銭的に余裕のある中高年層の男性を対象としており、販売市場が縮小しているにも関わらず、新車販売されるスポーツカーの高価格化は止まらない。
比較的手に届きやすい価格帯のトヨタ86/スバルBRZですら新車販売価格は200万円~300万円程度と、やはり若者が簡単に買える値段ではなくなってしまった。
三菱ランエボⅩやスバルインプレッサに至っては400万円程度と、もはや高級車の域に達し、若者が簡単に買える車ではなくなってしまった。
中古車市場では
それでは中古市場はどうかというと、根強い人気を持つR34型GT-Rや初代NSXなどは値段が一向に下がらないどころか高騰している。
それらはスポーツカー全盛期の90年代に作られた車だけあって、性能もさることながら、バブル時代に設計されただけあって作りも豪華でマニアに根強い人気を誇る。
それらと比べると、やはりフェアレディZ33やZ34の中古車では存在が霞んでしまうのが大きな理由ではないだろうか。
フェアレディZの中古価格が安い理由|揺らぐ、フェアレディZの立ち位置。
スポーツカー全盛期の90年代、若者がスポーツカーで走り回っていたあの頃。
スカイライン、シルビア、スープラ、RX-7などに比較すると、当時のフェアレディZはどちらかというと大人向けの高級ツーリングカーという位置付けで、当時のトヨタでいうとソアラに相当するポジションで、それはZ33にフルモデルチェンジしても同じコンセプトが踏襲された。
The趣味の車
しかし、大きく変更された点が「2シーターのみ」という設定であった。
これによって4人乗車が出来なくなり、より一層、趣味の車という要素が強くなった。
さらに同時期にモデルチェンジされたスカイラインのデザインが大幅に変更され、今までの角張ったデザインから、丸みを帯びた流線型のデザインへと変更されたことで、スカイラインクーペとの差別化が曖昧になってきた点も挙げられる。
さらに言えば、スカイラインはこれまで直6エンジンであったのがV型エンジンへと変更になり、これもまたスカイラインとフェアレディZの差別化が曖昧になってしまった一因といえる。
こうしたことも、フェアレディZの中古価格が下がっている要因といえる。
フェアレディZの中古価格が安い理由|趣味で持つには維持費がかかる。
Z33から2シーターのみとなってしまったことで、完全に趣味要素の強い車になってしまった。
これにより普段使いのファミリーカーとは別に週末にドライブに出かける為の車であるとか、中高年層の夫婦が2人で旅行に出かける為に使うなど、ニーズや用途が限定されてしまう。
排気量が大きいから
さらに排気量が3500ccもあるから、自動車税や車検費用、保険などの維持費、さらには高騰するガソリン価格などによって、ある程度お金に余裕がある人でないと維持することが難しくなってしまった。
こうした経済的情勢から考えて、一般のユーザーからすると簡単に買える車ではなくなってきたことで、需要と供給のバランスが崩れ、新車販売価格に比べて中古市場価格がだいぶ安くなっていると考えられる。
フェアレディZの中古価格が安い理由|競合車種の存在。
フェアレディZの中古市場価格が安い理由として、競合車種の存在がある。
まず同クラスの車車としてポルシェボクスターやケイマンなど海外製スポーツカーが挙げられる。
いずれも2シーターで後輪駆動、高速クルージング性能に優れ、快適性と高級感も兼ね備えた大人のスポーツカーという位置付けだが、Z34に関していえばかなり走行性能面でも洗練されて、充分これらの海外製スポーツカーと対抗できるポジションといえるが、Z33型に関しては室内のデザインやエンジンなどを含めても、ポルシェなどの一流のスポーツカーと比較すると、パッケージング全体として若干見劣りするものがあった。
国内にもライバルが
さらにいえば、ホンダのS2000の存在がある。
排気量こそ2000cc程度だが、本格的な2シーターFRスポーツカーで、中古価格も下がってきている。
こうした競合車種の存在がZ33フェアレディZの中古価格を下げている要因といえる。
フェアレディZの中古価格が安い理由|86の新車か、中古のフェアレディZか。
中古のフェアレディZを200万円で買うなら、もう少しお金を出せばトヨタの86が新車で狙える。
さらにマツダのロードスターも購入対象として考えられる。
86およびBRZは排気量こそ2000ccだが、スバル製の水平対向エンジンを搭載した本格的なFRスポーツカー。
ロングノーズショートデッキのデザインは秀逸で、空力面にも優れ、室内デザインやインパネ周りもスポーツカーらしい、非常に完成度の高いスポーツカーといえる。
今の時代に合ったスポーツカー
3ナンバーサイズのボディに加え、各種エアロパーツを装備すると、大排気量スポーツカーにも劣らない迫力満点のルックスに仕上がる。
こうしたワンランク下の車種が新車で買えてしまうという競合事情も、フェアレディZの中古価格が下がっている要因といえる。
フェアレディZの中古価格が安い理由|それでも、フェアレディZの安い中古車を選ぶ理由。
それでもあえて、フェアレディZの中古を狙う理由。
それは大排気量ならではの余裕のある走り、引きしめられた足回りとボディ剛性、高級スポーツカーとして相応しいエクステリアデザイン、上質な車内の質感、そして何より国内ではトップクラスの性能を誇るスポーツカーを所有できるというステータスからではないだろうか。
そのステータスが中古車なら100万円を下回る値段で手にすることが出来るという、「お得感」がフェアレディZの中古車の魅力といえる。
Z33の中古なら100万円を大きく下回っている車両もあり、デザインもそれほど古さを感じさせないので、程度の良い中古車を入手して、外装をカスタマイズすれば今でも充分に通用するスポーツカーとして走らせることができる。